また、共依存の話をしたいです。
わたしにとってはとても敏感な話題なんです。
依存症の家族支援の方法として知られている
CRAFT (Community Reinforcement and Family Training)
では、共依存もまた、家族に対して使ってはならない言葉のひとつです。
「共依存」は診断名ではない
その理由の一つは、とてもシンプルです。
精神医学の診断基準である
DSM-5 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)
(日本語では『精神障害の診断と統計マニュアル』)には、
「共依存(codependency)」という診断は存在しません。
つまり、医学的・科学的に確立された
精神疾患のカテゴリーではないのです。
また、共依存というものが存在するという
化学的な根拠もいっさいありません。
それでもこの言葉は広まった
では、なぜ「共依存」という言葉が
こんなに広まったのでしょうか。
この言葉はもともと、依存症の回復コミュニティの中で
家族の行動パターンを説明するために使われてきた言葉です。
しかし時間がたつにつれて、
「行動パターンの説明」だったものが
いつのまにか
「人格の問題」
のように使われることが増えてしまいました。
すると家族はこう感じます。
- 私が悪いのかもしれない
- 私の性格が問題なのかもしれない
- 私が共依存だから、状況が悪いのかもしれない
でも家族はただ一生懸命なだけ
CRAFTの開発者であるメイヤー教授は、そこでこう言います。
依存症の家族は、
ただ一生懸命なだけだ。
心配して、
助けたくて、
見捨てられなくて、
いろいろなことをしてしまう。
その結果として、
状況がうまくいかないことがあるだけ。
でもそれは、
家族が「壊れている」からではない。
むしろ
愛情があるから起きる行動なのです。
CRAFTが家族を責めない理由
CRAFTでは、依存症の家族を
CSO(Concerned Significant Others)
と呼びます。
直訳すれば
「本人にとって大切な人」
という意味です。
この呼び方自体が、
CRAFTの哲学を表しています。
家族は問題ではない。
家族は決して病理化してはならない。
これがCRAFTの鉄則ともいえます。
家族はむしろ
回復のための大切なパートナー
なのです。
私が泣いてしまった理由
この講義でもまた、私は思わず泣いてしまいました。
なぜかというと、
依存症の家族は長い間
- 共依存
- イネーブリング
といった言葉で説明されることが多かったからです。
その言葉の中には、ときどき
「あなたにも問題がある」
というニュアンスが含まれていました。
でもこの授業では違いました。
教授は何度も、はっきりと言いました。
家族を責めてはいけない。
その言葉を聞いたとき、
「ああ、この人は本当に家族の苦しさをわかっているんだ」
そう感じたのです。
家族はもう十分苦しんでいる
依存症の家族は、たいてい
- 長い間悩み
- 何度も失望し
- 自分を責め
- それでも心配し続けています。
そんな人たちに、
さらに
「あなたは共依存です」
と言う必要があるでしょうか。
CRAFTは、そこに疑問を投げかけます。
そしてこう言います。
家族はただ、
一生懸命なだけなのです。
そして、一生懸命な家族だからこそ、
回復の可能性だってそれだけ高いんです。

